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MD-PhDコースを修了して
医学科5年 脇 本   信

 私はMD-PhD コースを選択し,細菌学の分野で研究活動を行ってきました。

 大学院入学の際につきましては,青藍会からMDPhD奨励賞による,入学金の助成をしていただき,誠にありがとうございました。

 まず初めに簡単にMD-PhD コースについて説明させていただきます。

 医学部医学科に入学した後,4年次修了時点で医学部を一度退学し,大学院に進学します。そして博士の学位取得後,再び医学部5年次に再入学するというものです。

 まだまだ知名度は低いようなのですが,海外においてはその歴史は古く,アメリカでは 1950年代半ばにスタートしています。卒業生は既に数千人にのぼり,その多くは現在も研究に従事し(臨床研究も含め ), 指導的な立場を担っています。さらに海外ではエリートコースとして認識されており,MDPhDコースに進学することは容易ではないようです。

 知名度が低く,希望者も少ないので,エリートとはほど遠い,自分のような者でもこのコースに進めたのは,幸運であったと思います。

 ここからは自分の体験について,書かせていただきます。以前研究室配属で実験をほんの少しかじってはいたのですが,入学して1年目は,戸惑う事が多く,また論文を一つ読むにしても1週間ほどかかりました。2年目からは改組により,生体防御医学分野と合併し,それに伴って,免疫学分野の方々と関わるようになりました。セミナーや研究発表をお互いに行い,以前は全く関わらなかった分野の事が少しわかるようになりました。(自分の勉強不足のため,少しになってしまったのが悔やまれます。)3年目は論文を投稿するということで,実験も詰めの段階に入っていたのですが,次から次へと課題が現れ,生きた心地がしませんでした。一つのことを明らかにするためには,様々な角度から考え,検証を行わなければならないということを学びました。ぎりぎりまで実験をし,周囲の先生方のサポートにより,なんとか論文の投稿までこぎつけることが出来ました。

 また,この三年間で小豆島リトリートや韓国海洋大学校大学間交流の研究発表会といった貴重な体験をすることもできました。

 現在の自分にこのMD-PhDコースでの3年間で,身についた物が何であるのか,はっきりとはわかりません。ただ,「研究者の視点」を持てるようになったという部分は間違いなくあると思います。また,私がこのコースに進んだ理由の一つには,桑原先生の存在があるのですが,「師匠」と呼べる人に出会えたという事も,自分にとっては素晴らしい財産になると思います。

 今年度から医学部に復帰し,現在,臨床実習が始まっています。3年間のブランクのため,指導していただいている先生に,知識のなさを呆れられることもしばしばですが,新鮮な刺激の連続で,充実した毎日を送っています。

 MD-PhDコースを選択することにより得た経験を無駄にすることの無いように,これからも一生懸命頑張っていきたいと思います。