医学科5年 梶 田 敬 介
MD-PhDコース6期生の梶田敬介と申します。私は2010年3月に医学科4年次を修了した後,MD-PhDコースへ進学し,ヘルスバイオサイエンス研究部ストレス制御医学分野の六反一仁教授のもと3年間基礎医学研究に携わりました。本年度よりMD-PhDコースを修了し医学科5年に復学することになりましたので,この場をお借りしてMD-PhDコースを修了しての感想等を書かせて頂きます。
「MD-PhDコース」は,医学研究を志向する医学部学生に対して早期に研究の機会を与えることによって,医学・医療の急速な進歩と社会情勢の変化に対応できる柔軟な思考力を持つ若手医学研究者を養成することを目的としています。本学のMDPhDコースに進学した学生は医学科4年次を終えた時点でそのまま大学院博士課程に進学します。そこで研究を行い,医学博士(PhD)を授与された後,再び医学科の5年次に再入学し,残りの課程を修了して医学部を卒業することになります。研究が好きな学生には是非MD-PhDコースへの進学も考えて頂ければと思います。
私は「将来は基礎研究に従事したい!」という理由で医学部に入学しましたが,やはり研究室には近寄りがたいイメージがありなかなか接点がもてず,念願の基礎研究を体験できる機会を得ることが出来たのは3年次の研究室配属が始まってからでした。受動的ではありますが,この機会をめいっぱい活かそうと一年間ストレス制御医学分野にお世話になり,六反教授を始め,頼れる先生方に手取り足とり実験を教えて頂きました。4年次になると臨床講義が始まりますが,やはりもう少し踏み込んで研究をしてみたいと思ったのがMD-PhDコースに進学した最も大きな理由でした。
進学を決めた当初は,仮説を立て,実験で検証し,論文としてまとめるというプロセスを出来る限り反復したいと考えていました。しかし基本的な実験操作をマスターしたり,仮説を立てるために論文を読んだり,仮説を証明するため多方向からのデータを集めたり,発表のためにデータをまとめたりするにはとても時間がかかり,自分の考えが甘かったことを痛感しました。仮説を少し一般化するためには今までの何倍もの実験が必要であり,ネガティブなデータが出るたび「自分の仮説は根本から間違っているのでは?今までの実験は全て無駄だったのでは?」と葛藤し自暴自棄になったこともありました。自分の未熟さから研究の全体像を把握できず,先生方から頂く助言が今の状況と結び付けられないことも多々ありました。
しかし,先生方の温かいご指導のおかげで徐々に研究の方向性が固まり,2年次からは国際学会で発表する機会を得ることが出来ました。この際に海外の研究者と英語でディスカッション出来,アドバイスを貰えたことはとてもいい刺激になりました。また国内の学会では他のグループの研究者に「君の研究はとても面白い」と言って頂き,モチベーションが格段に上がったことを覚えています。
初めての論文作成はかなりの負担でしたが,先生方の熱のこもった激励や,優秀な先輩方,頼りになる後輩のおかげでなんとか学位審査を終えることができました。
現在は医学科5年に復学し久々の講義に出席することに追われていますが,3 年間のブランクもあり毎日がとても新鮮で日々得られるものも大きく感じられます。今後は臨床実習と勉学に励み,3 年間の経験を活かせるよう精進していきたいと思います。最後になりましたが,MD-PhDコースで就学するにあたり,玉置医学部長,青藍会の皆様を始め多くの方々に多大なるご支援を頂きました。また3年間ご指導頂きましたストレス制御医学分野の六反教授,桑野助教を始めとする先生方に大変お世話になりました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。