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M D −P hDコースを修了して
医学科5年 狩 野 静 香

 私は,2013年3月で医学科4年生を修了後,MD-PhDコースに進学し病態生理学分野(旧ストレス制御医学分野)の六反一仁教授のもと,3年間基礎医学研究に携わりました。MD-PhDコースを修了後,本年度より医学科5年次に復学し,臨床実習に励んでいます。この場をお借りして,MD-PhDコースを修了するにあたっての感想を述べさせていただきます。

 MD-PhDコースとは,先進的な医学・生命科学の研究活動に必要な高度の研究能力と豊かな学識を備えた研究者を育成することを目的としています。本学のMD-PhDコースでは,医学科4年次を修了後,大学院博士課程に進学し,3 ~ 4年間の研究活動を経て医学博士(PhD)の取得を目指します。修了後は,医学科5年次に復学し,残りの課程を修了後,医師国家試験を経て医師免許(MD)を取得します。研究に興味のある医学生には,ぜひMD-PhDコースへの進学も視野に入れていただければと思います。

 私が基礎医研究に興味をもつきっかけとなったのが,医学科3年次での研究室配属でした。一年間,六反一仁教授の教室でお世話になり,右も左もわからない私に実験手技の基本から,データの扱い方,論文の読み方,プレゼンテーション方法まで丁寧にご指導くださり,毎日が新しい発見でわくわくした気持ちで過ごしていた思い出があります。そして,4年次ではさらに研究に打ち込んでみたいという思いが強くなり,MD-PhDコースに進む決意をしました。

 MD-PhDコースでの3年間の研究生活は,常に新しいことへ挑戦を続ける日々でした。研究に没頭でき大変恵まれた環境であり,思考,視点は非常に貴重なものを得ることが出来たと思います。実験を繰り返す中で仮説と現象がつながり,さらに新しい発見へとつながる過程は非常に刺激的な瞬間でした。順調に進むときもあれば,うまくいかない時期もあり,行き詰ったこともありました。気持ちばかりが焦り,先へ進めることばかりを考えて,無力感にかられることもありました。そんな時に,「目の前のことを丁寧にしなさい」という六反一仁教授の激励をうけ,あきらめず,あせらず,立ち止まらず,地道に続けることの大切さを教えていただきました。先生方のあたたかなご指導のもと,無事に学位審査を終えることが出来ました。3年間の間には多くの国際学会,国内学会で研究成果を発表する機会も頂きました。学会で国内外の最前線で活躍する研究者たちと意見交換をすることができたことは,たいへん勉強になり,研究を続けていくモチベーションとなりました。また,研究費の申請もさせていただき,研究者として働く上での基礎を学ぶことができました。

 現在は5年次に戻り,臨床の勉強をさせていただいております。臨床に戻るにあたり不安もありましたが,MD-PhDコースでの経験が非常に大きな力になっていることを実感しております。今後も,臨床実習に並行して研究を続け,成果を残せるよう尽力してまいりたいと考えております。

 最後になりましたが,MD-PhDコースで就学するにあたり,玉置俊晃前医学部長,苛原稔医学部長,青藍会の皆様をはじめ支援いただきました多くの方々,3年間にわたりご指導をいただきました六反一仁教授をはじめとする病態生理学分野の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。